これまで近代日本の学知の形成については、ヨーロッパに起源のかたちをもとめるもの、ないしは、東アジア固有の伝統を強調するもの、これら二項対立的な視角が前提とされてきた。しかし、人文学の形成過程に改めて目を向けた時、起源論に収まることのない、新たな知の創造の瞬間を垣間見ることができる。学知編成の系譜、他者との邂逅と翻案・翻訳、蔵書形成と知の体系化という三本の柱から、人文学という創造の営為のあり方を定位する。 人文学という創造の系譜
甚野尚志早稲田大学文学学術院教授。専門はヨーロッパ中世史、史学史。河野貴美子早稲田大学文学学術院教授。専門は和漢古文献研究。陣野英則早稲田大学文学学術院教授。専門は平安時代文学、物語文学。